前胸部・上腹部症状
胸やけ、げっぷ、呑酸(酸っぱいものが上がってくる)、みぞおちの痛み、吐き気などの前胸部や上腹部症状が続くときは、逆流性食道炎が疑われます。特に、横になった時や食後に症状が悪化することがあります。
その他、機能性ディスペプシアも逆流性食道炎と似たような症状が現れます。検査等で特に異常な所見が見当たらず、胃の動きが悪いといった機能的な問題から症状が現れます。また、食道裂肛ヘルニアも、同じような症状が現れるため、症状だけで判断するのではなく適切な検査と合わせて診断を行うことが大切です。
血便・タール便(黒色便)
血便は、見た目から出血箇所をある程度特定することができます。
鮮やかな血が付いた血便は肛門や直腸からの出血が考えられます。暗赤色の血便は大腸の奥や小腸からの出血、タールのような黒い色の便は食道や胃、十二指腸からの出血が疑われます。血便の症状に腹痛を伴う場合は、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)、虚血性腸炎、感染性腸炎などが考えられます。
腹痛を伴わない場合は、痔や大腸ポリープ、大腸がん、憩室出血などの疑いがあります。血便は、まず痔を調べるために直腸診で肛門周辺の診察を行います。さらに採血で貧血の有無、炎症の程度を確認します。
喉のつかえ、嚥下困難
喉のつかえ、飲み込みにくい、むせる、嚥下困難、のどの違和感などの症状は多くの場合、逆流性食道炎が考えらえます。まれに、食道がんや咽頭がんなどの悪性腫瘍が原因で症状が現れている可能性もあるので注意が必要です。
発症頻度は低いですが、食道アカラシアや好酸球性食道炎といった病気の場合、食道と胃のつなぎ目がゆるくならず強く閉まっていて食べ物が通過しづらくなって症状が現れる場合があります。
喉のつかえや違和感などの症状は必ずしも消化器疾患が原因とは限りません。中高年の方の場合、狭心症などの心臓疾患の症状として現れることがあります。
黄疸
黄疸は、皮膚が黄色っぽくなったり白目の部分が黄色に見える、尿の色が濃くなるといった症状が現れます。肝臓や胆のう、膵臓の病気が原因で黄疸が出ている可能性があるので、黄疸に気が付いたらすぐに当院へご相談ください。
肝臓の場合は、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎などのウイルス性肝炎やアルコール性肝炎、肝硬変、肝臓がんなどの疾患が疑われます。
胆のうの場合、胆管炎、胆石・総胆管結石、胆管がん、胆のうがんなどの疾患の可能性があります。
膵臓の場合、膵炎や膵臓がんなどで黄疸の症状が現れます。
まれに、体質性黄疸で症状が出ている方もいらっしゃいます。この場合、治療の必要はありません。