便で分かる体調の変化(色、回数、量)

便で分かる体調の変化

普段、あまり自分の便を見ることは無いかもしれませんが、便には身体の調子を知るヒントが色々と隠されていると言っても過言ではありません。その性状や色やにおいから今の自分の体調を理解して、それらに変化があった時には身体のどこかの不調を考慮して、何らかの病気の存在に早く気付くキッカケになるかもしれません。

排便回数

排便の頻度は、普通1日1~2回程度で、1日3回以上の場合は下痢(ぎみ)、1週間に3回以下の場合は便秘(ぎみ)と考えます。特に1日5回を超える排便の方や1週間に1~2回しか排便の無い方は、極端な下痢症、便秘症であり、日常生活への影響も大きいと思われますので、専門医に相談することをお勧めします。

便の量

食べ物の量や種類によって違ってきますが、植物性の食物を多く食べる人では量が多く軟らかい便で、肉類を多く食べる人では乾燥した少ない便をする傾向があります。1日の量の平均は100~200gぐらいで、重さの2/3程度が水分、残りの1/3は腸内細菌、セルロースや不消化物、胃や腸の分泌物や剥離した細胞からなります。脂肪の排出量は通常約2g程です。排便量が多すぎたり少なすぎたりする場合、食事の内容の見直しが必要かもしれません。

便の性状

  • 健康な便・・・黄褐色のバナナ状または半練り状でにおいが少なく、するりと出るソフトなもの。
  • ドロ状、水様性・・・下痢の状態です。水様性の場合、粘液、血液、膿などが混じると細菌性赤痢や伝染性下痢などの感染性腸炎や、炎症性腸疾患などが考えられます。
  • 兎糞状の便・・・ウサギの糞のようなコロコロとした便が出る場合は、大腸のどこかがけいれんしているけいれん性便秘が考えられます。
  • 太くて硬い便・・・排便時に便柱が太くて硬い場合は、大腸の運動が低下している弛緩性便秘が考えられます。
  • 硬くて断片的な便・・・たびたび便意をこらえることによって、直腸の感受性が低下して起こります。
このように、便の性状から腸内の感染や炎症の存在や、腸の蠕動(ぜんどう)運動の調子なども推測することが出来ます。

便のにおい

食べた物や背景にある病気によって影響されますが、においの素は腸内細菌によってたんぱく質が分解された結果できるスカトール、インドールという物質によります。便秘などで腸内の滞留時間が長くなる時、肉などの動物性たんぱく質を大量に摂取している時、強いストレスを感じている時や過敏性腸症候群などの消化器系の病気の時はにおいが強くなります。また、膵疾患や直腸がんでは特に強いにおいを発します。逆に、規則正しい生活、適度な運動習慣、食物繊維と水分の十分な摂取、その他、適度な脂肪の摂取などにより大腸を刺激して排便を促す効果が期待出来ます。その結果、便秘を解消することでおならのにおいを軽減することが可能になります。

便の色

  • 黄褐色・・・正常な便の色調です。これは胆汁色素ビリルビンによると考えられています。
  • 黄色・・・高度の下痢便などで見られます。牛乳の多飲、下剤の服用や脂肪便の時でも見られます。
  • 茶~茶褐色・・・食べ過ぎ、飲み過ぎの場合。
  • 濃褐色・・・便秘の時や肉類の多い食事で見られます。また、ココアやチョコレートを大量に食べる人でもこの様な色になります。
  • 黒色・・・上部消化管の出血でコールタールに似ているため、タール便ともいいます。また、イカ墨料理を食べた後、鉄剤の服用後、また薬用炭も黒色便になります。
  • 緑色・・・母乳の赤ちゃんの便や緑色を呈したクロロフィルを多く含む緑色野菜を大量に食べる人の便は緑色調になります。
  • 赤色・・・赤色は出血した場所が肛門に近いほど新鮮血を呈します。痔核や肛門裂傷は血液そのものの新鮮血で、S状結腸や直腸からの出血は、新鮮血と凝血した血液の固まりを含んでいます。上行結腸や横行結腸からの出血は濃紫色、血液が便の周囲に付着しているのは直腸や肛門からの出血と考えられます。直ちに、専門医療機関への受診が必要です。
  • 灰白色・・・胆汁の流出が悪いか、胃透視時のバリウムによるものです。腸結核や膵疾患でもこの様な色になることがあります。

便の色に影響を及ぼす薬剤

  • 白色・・・透視用バリウム
  • 銀白色・・・水酸化アルミニウム(制酸剤)などのアルミニウム塩
  • 白色残渣・・・バルプロ酸ナトリウム徐放剤(抗てんかん剤・賦形剤の一部が溶解せず排泄されるため)
  • 黒色・・・ビスマス塩製剤(下剤)、硫酸鉄(鉄剤)、プロトポルフィリンナトリウム(慢性肝疾患治療剤)、薬用炭(吸着剤)
  • 緑色・・・クロロフィル配合剤(消化潰瘍治療剤)
  • 赤色・・・セフジニル(抗生物質・粉ミルク、経腸栄養剤など鉄添加製剤との併用で着色)、フェノバリン
  • 赤色~黒色・・・ワルファリンカリウム(抗凝血剤・胃腸出血の徴候)
  • 橙赤色・・・リファンピシン、リマクタン(抗結核剤)

特徴ある便

  • 米のとぎ汁のような乳白色・・・コレラ特有の便の症状です。乳幼児の場合はロタウイルスが疑われます。
  • いちごゼリー状・・・アメーバー赤痢に特徴的です。
  • タール便・・・上部消化管からの出血が疑われます。

以上、便の回数や性状や見た目やにおいから考えられることについてまとめてみました。
何か疑問に感じることや不安なことがある際は、お気軽にご相談下さい。
また、便の異常にはやはり腸内細菌叢(腸内フローラ)の評価が大変お勧めです。
当院では、サイキンソー社のMykinsoという腸内フローラ検査キットを導入しております。ご興味のある方は、是非お声がけください。

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