逆流性食道炎とは
胃から何らかの原因で胃酸が食道に逆流することで、食道に炎症が生じる疾患を逆流性食道炎と言います。特に、しつこい胸やけが特徴で、そのほか呑酸(どんさん:苦味や酸味を感じる)、ゲップ、胸部の痛み、咳など、酷くなると日常生活に支障が出る程の辛い症状です。
胃の粘膜は強くて厚い構造ですが、食道の粘膜は薄く胃酸に弱い構造をしています。そのため、胃酸が食道に逆流すると容易に炎症を起こします。さらに、逆流性食道炎が長期化すると、いずれバレット食道癌に発展するリスクがあります。再発しやすいことも特徴なので、食道癌リスクを回避するためにも定期的な検査と適切な治療が大切です。
診断
逆流性食道炎は症状をお聞きし、問診を重点的に行います。
問診から、必要に応じて検査を実施します。
※胃カメラ(胃内視鏡検査)が必要となった場合は近隣の連携医療機関で検査を受けて頂けます。
セルフチェック・Fスケール
逆流性食道炎は「Fスケール」というセルフチェック項目があります。合計8点以上の方は、逆流性食道炎の可能性があるのでチェックしてみて下さい。
質問 | ない | 稀に | 時々 | しばしば | いつも |
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1.胸焼けがしますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
2.お腹が張ることがありますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
3.食事をした後に胃がもたれる(重苦しい)ことはありますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
4.思わず手のひらで胸をこすってしまうことがありますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
5.食べた後、気持ち悪くなることがありますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
6.食後に胸やけが起こりますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
7.喉の違和感がありますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
8.食事の途中で満腹になってしまいますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
9.ものを飲み込むと、つかえることがありますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
10.苦い水(胃酸)が上がってくることがありますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
11.ゲップがよく出ますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
12.前かがみをすると胸やけがしますか? | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
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逆流性食道炎の症状
- 胸やけ
- 口に胃酸(すっぱい苦い液体)がこみ上げてくる
- 胸の締め付けられるような痛み
- ゲップが多い
- お腹の張り
- 胃もたれ
- 喉の違和感
- 咳が出る
- 声がかすれる
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎の主な原因として、年齢変化によるもの、生活習慣などの行動によるもの、そのときの体質によって胃酸が逆流しやすくなると考えられています。
年齢変化によるもの
年齢を重ねることによって、食道括約筋が緩み、食道と胃のつなぎ目がしっかり閉まっているはずが弱くなり胃酸が逆流します。
生活習慣によるもの
私たちの生活習慣によって、胃の内圧が上がったり、胃酸の分泌量が増えたり、胃の動きが悪くなり食べ物が胃内に停滞してしまうと症状が現れます。
- 脂肪の多い食事、餅など消化が悪い食事
- 甘い食べ物や辛い食べ物の過度な摂取
- 酸っぱい食べ物の過度な摂取
- コーヒーや紅茶などの過度な摂取
- 飲酒喫煙、嗜好品(しこうひん)の摂取
- 肥満や妊娠、便秘などの体質によるもの
以上のような生活習慣により腹圧が高まり、胃酸が逆流しやすくなります。
逆流性食道炎の治療
逆流性食道炎は、生活習慣を改善しながら経過を見ていきますが、それでも症状が改善しない場合には薬物治療を導入致します。
生活習慣の改善
生活習慣の改善とは、胃酸が逆流しないように、些細なことに気を配ることが大切です。例えば、食後にすぐ横にならない、腹圧が上がりやすい動作に注意すること(前かがみの姿勢・草むしり・ベルトの締め過ぎなど)などを生活の中で避けるようにしましょう。これらに注意するだけでも、胃酸の逆流防止に繋がります。また、胃酸の逆流を引き起こしやすい食べ物などを以下に挙げてみます。
- チョコレート
- ケーキ
- アイスクリーム
- 餡子菓子
- コーヒー(カフェイン)
- ココア
- 酸っぱい食べ物(梅干しや柑橘類)
- アルコール
- 炭酸類
- たばこ など。
以上のように、高脂肪食品や消化の悪い食事、刺激の強い食品、お酒、たばこなどを控え、コーヒーや紅茶などを飲む回数を減らしたりして食生活の改善を図りましょう。
薬物療法
食生活などの生活習慣の改善を図ってもあまり症状が治まらない場合は、薬物療法で症状の緩和を促します。患者さんの症状や原因に応じて、適切な内服薬を処方します。
- 胃酸分泌抑制薬:胃酸を少なくして食道の炎症を抑えます。
- 消化管運動機能促進薬:胃や食道に停滞している食べ物を十二指腸以下に送り出す蠕動運動(ぜんどううんどう)を促進させます。
基本的に、1つの薬剤で治療を始めますが、症状が改善しないときは効果の違う薬を併用していきます。治療効果がより高まるよう、患者さんの症状に合わせて治療薬を選択していきます。