気管支喘息の原因と症状、治療方法

気管支喘息とは

気管支喘息は空気の通り道である気道が、様々な刺激に対して敏感になり発作的に狭くなることを繰り返す病気です。日本人の約10%程度の方が気管支喘息を患っていると言われています。多くは子供の時に発症し成人になって改善しますが、中には高齢になってから発症する方もいらっしゃいます。原因としてはダニやハウスダスト、ペットの毛、カビなどに対する気道のアレルギー反応であることが多いですが、原因が分からない場合もあります。

気管支喘息の症状

喘息発作を起こすと咳や痰が出て、ゼーゼー、ヒューヒューという音を伴って息苦しくなります。発作は夜間や早朝に出やすいのが特徴です。

気管支喘息の診断

まずは、聴診にて喘息に特有な喘鳴の有無を確認します。胸部レントゲン検査では肺の器質的な病気を確認し、呼吸機能検査で気道の空気の流れが悪くなっていないかどうか調べます。また、場合によっては痰の検査や吐いた息の中の一酸化窒素濃度などを測定して気道の炎症が無いかどうか調べたり、血液検査でアレルギーの評価も行います。

気管支喘息の治療

日頃から吸入ステロイド薬などの喘息発作を抑える薬を用いて、発作予防することが大切です。ステロイドと言っても、吸入タイプであれば気道粘膜にのみ作用するため、適切に使用すれば副作用の心配はありません。喘息の重症度に応じてステロイドの量を調整したり、他の薬剤も併用します。また、アレルギーの原因が分かっている場合は、それらを避けることが大切で、また喫煙していれば禁煙することも喘息の発作予防になります。もし発作が起こった時は、即効性のある気管支拡張薬を吸入します。何度か繰り返し使用しても症状が改善しない場合や、どんどん悪化する場合は、速やかに呼吸器専門医のいる病院を受診して下さい。

その他のアレルギー性肺疾患について

過敏性肺炎

肺にある小さな空気の袋(肺胞)や細い気管支の内部に発生する炎症で、細菌やウィルスなどの病原体による感染が原因ではなく、有機物の粉塵(ふんじん)や化学物質を繰り返し吸い込んで、肺の中でそれらを異物(抗原)として認識することによるアレルギー反応が原因で起こります。症状としては、息切れ、痰を伴わない乾いた咳、発熱などが見られ、入院したり、職場を休んだりすることで原因となる抗原を避けることで症状は自然に改善しますが、長期間抗原に曝露されていると炎症が慢性化して肺が固くなっていくこともあります。重症になると酸素の吸入やステロイド薬を要することがあります。再燃予防として、転居、大掃除や転職と行った環境を整えることが必要な場合もあります。発症時期として特に夏場に多く見られます。抗原としてはカビが一番多いですが、その他に細菌、鳥類の排泄物、キノコの胞子などもあります。

好酸球性肺炎

一般的に肺炎というのは、細菌やウィルスなどの病原体が肺に感染して引き起こす病気ですが、好酸球性肺炎は、白血球の一種である好酸球によって引き起こされる一種のアレルギー反応による特殊な肺炎です。原因としては、特定の薬物やカビなど、アレルギーを起こす抗原の吸入によることが分かっています。咳や発熱、呼吸困難などの自覚症状で内科を受診し、胸部レントゲン検査や血液検査で一般的な肺炎と診断され、抗生物質などの薬を処方されたにも関わらず一向に改善しないため、呼吸器内科専門医を受診したところ、そこで好酸球性肺炎と診断されたというケースが多いです。血液検査で好酸球数が増加していることが多く、気管支鏡検査による肺の洗浄液や生検組織の中に好酸球が多く見られることが診断の決め手になります。抗原となる原因が特定できる場合は、それを除去することで軽快することもありますが、ステロイド治療が第一選択となります。喫煙を開始してから数週間後に発症する若年者が多くをいるため、タバコとの関係性が指摘されています。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

アスペルギルスは自然界に広く存在しているカビの一種で、普通は人にはあまり感染しない菌ですが、免疫力が低下している人や肺に持病のあるような方では、この菌を吸い込むことで感染することがあります。またアスペルギルスに対するアレルギーを持っている場合も菌を吸い込むことで病気を発症します。中でも喘息患者さんで多く発症し、気管支や肺に対する過敏反応による病気をアレルギー性気管支肺アスペルギルス症といいます。血液検査でアスペルギルスに対するアレルギー反応を調べて診断します。治療は通常の喘息治療に加えて、ステロイド薬の内服も行います。治療が遅れたり不十分であったりすると肺が硬くなったり気管支が拡張して元に戻らなくなることがあり、場合によっては呼吸不全になり酸素療法が必要となることがあります。

TOPへ